日本目線で考える、アップル発表会の新サービスの重要ポイント

我々、日本の人たちにとって、メリットは大きいのか?

現地時間2019年3月25日にカリフォルニアで行われた発表会では、アップルがサービスの会社へと脱皮すべく行ったものだといいだろう。しかし、製品発表と違って、日本に対応するのか否か? によって、我々への影響は大きく違うし、一般ユーザーの関心も、上がりも下がりもするだろう。

また、製品だけでは分からない周辺への影響というものもある。そのあたり、順を追って論じていこう。

Apple Cardは、ゴールドマンサックス×マスターカードでも参入は可能?

まず、Apple Card。スマホの中の仮想カードと、チタン製の物理カードがあるが、どちらもイシュアーや国際ブランドをどこにするかという問題がある。USでは、イシュアーがゴールドマンサックス、国際ブランドはマスターカードとのこと。

どちらも、日本では主流派ではないので、いきなりの実現は難しいような気もするが、主流派でないだけに、新規の攻勢として、アップルとタッグを組む可能性はあるのではないだろうか?

その点さえクリアすれば、可能性はあるような気がする。

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とはいえ、マスターカード・コンタクトレスは、日本では対応していないし、マスターカードは現状イシュアーによってiDとQUICPayに振り分けられるということになっている。ゴールドマンサックスが参入するなら、どちらかを使うのだろうか? 越えなければならない障壁は、いくつかありそうだ。

また、アメリカなら、NFC決済に加えてクレジットカードを取り込めば、ほぼ99%の店で決済できそうだが、現金決済しか使えない店がまだ多い日本では、それはでは決済のすべてを取り込むことはできない。これに、QRコード決済を組み込んでくれれば、かなり可能性は広がるのだが。PayPayやOrigami Payと組んでくれたりしないだろうか?(笑)

また、家計簿の表示サービスとして、日本にはMoneytreeやZaimという優れたサービスがあるのだが、そことの協業の可能性などはないのだろうか?(これまでのアップルの方法論を見ているとないような気がするが……)。

Apple Arcadeは秋から問題なく使えるはず

ゲーム、サブスクリプションのApple Arcadeは、今秋から100以上の国で……とのことなので、多分日本でもプレイできるでしょう。どのぐらい日本語化が進むかと価格設定によって、ウケるかどうかは違うと思う。価格は未発表。

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ちなみに、表示されたリストだと、SEGAやKONAMIはあるが、任天堂がない。ちょっと前まで、ポケモンGOやマリオの件で任天堂とは仲が良さそうだったのに、なぜだろう? 任天堂はサブスクリプションには消極的なのだろうか?

参入して欲しい! が、「いつか来た道」でもある

Apple News+は日本でもぜひ展開して欲しいサービス。ただ、日本語コンテンツを提供する各社と、地道な交渉を行い、コンテンツを加工して提供してもらわなければならないので、難易度は高い。

まさに私自身が雑誌と、その電子化をやっているからよく分かるのだが、Apple News+に提供されている雑誌の、編集にかかる手間、人件費はかなり大きい。USの大手メディアだからこと、ハイクオリティな動画などを組み合わせることができるが、あのレベルのものを安定して作れる出版社は多くないだろう。

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また、雑誌のリッチコンテンツ化というのは、我々にとっては7〜8年前の電子雑誌ブームの時に一度通った道で、制作コストに見合うほど使われないし、人は本を読んでいる時にリンクをタップして本から出てウェブに行ってしまったりはしない(逆に行くと戻らないから、それも困る)。

Newsstandがどうなったか、リッチ化に積極的だったNewtonがどうなったあを考えてみると、雑誌がリッチ化方法に進化するのは難しいと思う。2010年から8年以上電子雑誌に取り組んで来たものとしても。

たとえば、現状の弊誌フリック!にしても、15もの配信元に配信するために、それぞれ別仕様のデータを吐き出して仕様書を用意している。この上、。Apple News+のために、大きな手間をかけるのは不可能だ。大きな収益なくしては。

そう、それは大きな収益があれば可能。雑誌業界ではdマガジンショックというのがあって、dマガジンのサブスクリプションで大きな収入があった時期がある。同じように、Apple News+がまとまった金額を提供できるのなら。それに応じた手間をかけることはできるだろう。

そうでなければ、やはり現状のようなPDFベースのコンテンツ提供になる(ちなみに、フリック!はリンク貼り付け可能な配信元については、リンクを貼っている……が、あまりリンクへは飛ばれていない)。

……以上、雑誌の現場からの提言でした(笑)

Apple TV+ JAPANが水面下で動いていたら……いいな!

一番、時間を割かれて、一番日本のコンシュマーに届かなかったのは、Apple TV channelsとApple TV+ではなかろうか?

次々と登場した映画監督、俳優、テレビタレント……などは、日本人にとっては馴染みがない人たちなのだから、これはある程度仕方がない(国際的な常識として知っておくべき……という意見はさておき)。文化の差異だ。

Apple TV channelsは、これまでのApple TVをフラットに扱いやすくしたもので、Apple TVや、iPhone、iPadの他、他社製デバイスでも見られるようにしたのが大きな特徴。

Apple TV channelsは秋から100カ国以上で……とのことなので、これは日本でもメリットを享受できそうだ。

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Apple TV+はNetflixのように、アップルが出資してコンテンツを作るというアップル独自コンテンツ。Apple TV channelsとは重複しない(というか、別課金っぽい)。スピルバーグ、JJエイブラムス他、錚々たる人たちが登場していたが、日本の映画監督などが出てきたわけではないので、現状ではアメリカンなコンテンツが中心になりそう。

Netflixのように日本でも楽しめるプラットフォームになるかどうかは、USがワールドワイドに楽しめるコンテンツをどれぐらい作れるか、また日本独自コンテンツをどのぐらい作ってくれるのか? 果たして、現在、水面下でApple TV+ JAPANとでも言うべき組織が動いているのかどうか……で、今後の展開はかなり違うだろう。

Apple TV+は秋スタートで100カ国以上とのことだから、日本でも(オリジネルコンテンツがあるかどうかは別として)楽しむことはできそうだ。

アップルの日本法人が動いてくれているか否か? で、違う

以上、総合すると、今回の発表が我々にとって意味が大きいかどうかは、日本のアップルが頑張るか次第。別の言い方をすると、コストをかけられるかどうか次第、日本というマーケットにまだその価値があると判断されるかどうか次第という気がする。

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iPadで(フリック!を含めた)雑誌が読み放題で、Apple TV+では、宮崎駿か新海誠の作ったオリジナルアニメが見られて、タモリや福山雅治の出てくるアップルオリジナル番組が見られて、チタン製のApple Cardで支払いを管理でき、カード非対応のお店ではApple PayのQRコード払いで支払いができる……なんてことになれば、かなり楽しいと思うのだが。

(出典:『flick! digital (フリック!デジタル) 2019年4月号 Vol.90』)

(村上タクタ)

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